組織の力で勝ちにいく。
個社経営におけるデータの
重要性とグループの価値向上


株式会社メタルワン・サービスセンター・ホールディングス
代表取締役社長
株式会社メタルワン 薄板事業部部長代行
永田 将史
Interviewer
立石 裕美

2010年、鉄鋼総合商社・株式会社メタルワン傘下会社のサービスセンター事業統括・運営、
各社の生産性向上を目的に設立された「株式会社メタルワン・サービスセンター・ホールディングス(略称MOSHD)」。
同社は設立時より、COALESCENCE(コアレッセンス)の前身となる組織調査プログラムを年4回実施。
2021年のCOALESCENCEリリースに先駆け、データ採取とクォーター診断を実施中だ。
ホールディング経営における組織力調査の導入意義と
個社の経営における客観的なデータ活用の必要性について代表取締役社長・永田将史氏に語っていただいた。

組織力調査で図る
個社同士の一体感の醸成と
ソフトアライアンスの最大効果

MOSHDグループでは、2012年の組織調査導入後、7年間にわたり同プログラムを実施。COALESCENCEのリリースに際して2020年に実施プログラムの見直しをはかり、現在はCOALESCENCEと同様の尺度での調査・診断を継続している。MOSHD設立当初からの課題感と組織アンケート調査導入の経緯について、代表取締役社長・永田将史氏はこう振り返る。

永田社長
傘下7社それぞれに社長がいらっしゃるなか、どうしても事業環境や出資比率の関係でハードアライアンスはやはり難しいと。では、ソフトアライアンスで最大効果を出していくにあたって、どんなことが出来るのか?という横串の一環としてMOSHDへの意識や現状を調査・可視化し、経営がどんな施策を打つべきかを考える助けとして組織アンケート調査を開始した経緯があります。

グループ内の一体感を醸成すべくスタートした組織調査は、一方でホールディングスである株式会社メタルワンから個社の経営者に向けた意識の改革を促すメッセージ的要素もあったという。

永田社長
実施にあたっては、グループ全体の一体感もさることながら、個社の経営者に対して社員の意識をしっかりと把握することで経営力アップとアウトプットにつなげる意識を高めようという発信の意味合いもあったと訊いています。メタルワンが直接個社に対して事業投資にフォーカスするなか、数字や結果とはまた違ったプロセスやソフト面を重視することで中長期的にはさまざまな成果が生まれやすくなる、そういった通念があるのではないかと認識しています。

統合・合併・社長交代
ホールディング経営における
診断データの活用法

導入当初はバラツキのあった回答率や数値は回を重ねるごとに上昇。継続的な実施による浸透と経営からグループの会社員への発信自体がグループ参画の意識を高め、個社を跨いだグループの連携強化に働いている。また、同社の支援を続けてきたアイ・コミュニケーションズ社チーフコンサルタント 立石氏は、合併や事業投資先の社長交代を例に挙げ、ホールディング経営における組織調査活用の視点をこう提案する。

立石氏
たとえば合併候補の会社にも組織力診断を実施していただくことで、その会社の組織力を把握していただく。あるいは、組織調査によって可視化されたデータが経営の継続性および新たに着任した社長が業績以外の観点で今後の打ち手を考える手引きになれば、と考えています。アンケート結果をそのまま評価に使うことは難しい面もありますが、なにかの着眼点としてMOSHDの経営者の方々に見ていただければと。
永田社長
経営者や社長が一定の期間で変わるという点は課題としてあります。だからこそ、グループそのものの概念を社員に浸透させるプラスの要素が組織調査にはあるのではないかと。立石さんには節目節目に行う社長会でオリエンテーションをやっていただいていますが、直近の回で個社の集計データを出していただいたのは、すごく効果的だったと思います。組織力調査が健康診断だとすれば、一期ごとに行われる監査の結果は気にしても、健康状態はなかなか気にしてきませんでした。あれこそ客観的な目ですし、社員がどう思っているかということがファクトなので。

成熟産業で勝ちに行くために
必要な差と
データが裏付ける
「経営のセンス」

評価のために調査をする時代から、組織力向上と経営にデータを活用する時代へ--。こうした企業の意識の移り変わりについて、永田社長は「数値化した組織状態のデータを経営に役立てると同時に社員の満足度を上げていくということは、どこの会社も行なっている。ただ、未だこうした取り組みに触れたことがなければ、どれだけの意味があるのか測りかねる経営者もいるかもしれない」としたうえで、改めて組織の連携を深める重要性についてこう語っている。

永田社長
競合との小さな差を積み重ねて勝ちにいかなければならない成熟産業の業界では、組織のチームワークやフィット感が積み重なることでその差が生まれると感じています。そして、組織を整えるにあたっては社長にしか判断出来ないことがある。そうした部分を測るツールとして組織力調査には活用価値があると思いますし、その点でCOALESCENCEは、診断結果をもってどんな施策を打つべきなのかがわかりやすく、個社の経営に生かしやすいという利点は間違いなくあると思います。
立石氏
いわゆる親会社との調整と現場との調整、なおかつ中間管理職ではなく経営をしなければいけないといった点で、子会社経営というのは特にセンスが問われるところだと思うのですが。
永田社長
確かにそこは、経営のセンスでしかないと思います。企業価値を上げていくために何をするか考え続けるのは「事業投資経営」も「事業投資管理」も一緒ですが、ポリシーやニュアンスが微妙に違う。経済合理性を追求して投資と撤退を判断するのは当然ですが、各個社の社長が「事業投資管理」だけをしていたら現場はまったくついてこない。人や組織の状態から成果を測るということであれば、可視化されたデータが経営センスを裏付けるという言い方も出来るのかもしれませんね。

ホールディングス経営においては、
個社の価値を上げていくことがグループの価値向上につながる。継続的な組織力調査による個社同士の繋がりと経営層に浸透したデータ活用による成果は、今後MOSHDのさらなる発展によって証明され続けるだろう。

継続的な組織力調査による個社同士の繋がりと
経営層に浸透したデータ活用による成果は、
今後MOSHDのさらなる発展によって証明され続けるだろう。


株式会社メタルワン・サービスセンター・
ホールディングス

三菱商事と双日の鉄鋼製品事業部門の統合によって2003年に誕生した鉄鋼総合商社メタルワン。MOSHD(メタルワン・サービスセンター・ホールディングスの略称)は、この傘下の国内鉄鋼流通事業を統括・運営するホールディングカンパニーとして設立された。組織の枠組みを超えた有機的な繋がりを促進しつつ経営資源の最適配分を図り、各社・グループの企業価値向上に努めている。

設立 2010年11月1日
資本金 8,000万円
所在地 〒100-7032 東京都千代田区丸の内2-7-2
JPタワー
永田 将史
株式会社メタルワン・サービスセンター・
ホールディングス
代表取締役社長 /
株式会社メタルワン 薄板事業部部長代行
1993年に日商岩井株式会社に入社。製鋼原料部でスクラップビジネスに携わり、人事部で採用・研修業務に従事。株式会社メタルワンに移籍後は各種産業向けの薄板取引を手掛け、2015年よりMOSHD執行役員(経営企画・SC支援管掌)に就任し、2017年に常務取締役、2021年4月から現職。

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